【バトガ】第6部第3章

【バトガ】第6部第3章果たされた心願果せぬ約束

星守VSイリス解禁

3章の攻略は(特に)ないです。

4章は3月29日(2019)に公開し、果てしてどんなエピローグを迎えるのやら

さっそくストーリーまとめです。

第6部第3章「ヤクソク」

  1. 161話 汚された星衣
  2. 162話 ヤクソク
  3. 163話 宿願の果てに
  4. 164話 ふたりで

ネタバレ注意

ざっくりまとめ

  1. 汚れっちまった悲しみに
  2. あの地平線かがやくのは~
  3. 合体! in 葵
  4. 遺託
  5. ストーリーまとめへ

 

汚れっちまった悲しみに

許せなかった。

茉梨先輩の体で現れたイリスは、漆黒に染まった見慣れた衣装をまとっていた。

私は知っていた。茉梨先輩がずっと努力してきたことを。
自分だけ覚醒できなかった苦悩を。誰よりも星守への想いが強く、大切なものを守る力をやっと手に入れたんだ。

そんな茉梨先輩の想いがつまった星衣が汚されている…

「おまえが汚していいものじゃない!」

私たちの想いの力とやらで取り返してみろだと…
証明してみせろだと…
「この身体を5年も求めた続けたあの二人は無様に膝をつきましたが」

【バトガ】第6部第3章 VS明日葉

刃が届かない!
「この力は……」
「5年間の覚悟は”その程度”ですか。期待はずれです。」

とてつもない力で押し戻される。
どこまで飛ばされたのか。少し薙ぎ払っただけでこの攻撃力…次元がちがう。
「”あの子たち”に任せなくて正解でした。自ら絶望を与えたほうが…あなたたちは輝きます。」

いくつもの地球を滅ぼし、この地球でさえ滅ぼさんとする悪の元凶イリス。
星守にがっかりしたが、自らの手で絶望を与えんがためイロウスの大群を食べ目の前に現れた。
煽りに煽り。絶望へ導こうとする。
邪悪に微笑み、明日葉ら星守たちの攻撃を薙ぎ払っていく。

 

決意は固まった。
力もついた。
目の前にはいないが御剣先生や八雲先生に心で支えられている。
ありったけの力と想いをぶつけて宿敵を倒すチャンスだ。

それでも…
19人で何度攻撃しても…

イリスには傷一つ負わせることができない。

退屈したイリスは遊んで差し上げると心美を襲う。
心美が危ない!うららが心美をかばい、二人とも吹き飛ばされる。
腕をケガしても心美を心配し気絶するうらら。
絶許な心美。

圧倒的な実力差があるが、どんなことがあっても止めなければならない。
けっしてあきらめてはいけない。
星守たちが再び立ち向かおうとしたときだった。

「この程度があなたたちの真の力ではないとわかっています。ですが、いつ覚醒するかわからず退屈というもの。ならば、引き出して差し上げましょう。」

急に光りだした。

「さあ、絶望を奏でてください」

とっさに理事長が止めろと叫んだ。

 

 

遅かった。

 

 

みんなで学んだ教室
おしゃべりした廊下や屋上
庭では昼寝する生徒や先生もいた

ただ星守がいる場所なんかじゃない
一人ひとりにとってともに大切な時間を過ごした家のような場所
お姉さんの想いを継いで作った理事長にとっても
つぎへつぎへと想いをたくしていった歴代の星守にとっても

たくさんのものが詰まった場所なのに
爆音が鳴り響いたあと何もかもが崩れていた。

「たった一撃で私たちの……すべてを……」
理事長が力なく言う

イリスはこなれた手つきで学園を地獄絵図にし、彼女たちを絶望へいざなった。

 

最初はなんてことはない日常のひとつだった。
居場所なんて空気と同じだと思っていた。
でも二人に出会って、空気がなければ私は息詰まった学園生活を送っていたにちがいない。そう気づかせてくれた。

夢を、バレリーナをあきらめ、何をする気も起きなかった。
そんな私に、光の中から手を差し伸べてくれた。女の子は私を闇から連れ出してくれた。
今の私でいられる大切な場所…

「それなのにあなたは……!」

蓮華がイリスをにらみつける。
対しイリスは待ち望んでいたように蓮華を見つめ返した。

「瞳の奥の青い炎が揺らいでいる。それこそが星守の正体…」
幾度となく瞳の炎に魅せられてきた。その炎を喰らう瞬間こそが最上の愉悦であると語る。

悲しみや憎しみ
だんだんと増幅していく星守たちの感情をさらに逆撫でしようと再び光を放つ。

ミシェルのやめてよ

「…むみぃ」

「「あぁ…花壇がぁ」」

ゆりと望の目の前で、毎日欠かさず世話してきた大事な大事なお花さんたちがぐちゃぐちゃだ。

毎日お話しして、アドバイスをくれることも。
ミサキさんがお世話をしてくれたこともあった。
アイリスも、みんなみんな。
痛いよね…苦しいよね…

お花さんだけじゃない、そうやってたくさんの人の涙をすするイリスが許せない

くるみの怒り ハンマーを振りかざす

くるみが我を忘れて神器アネ・モネ(槌)を振りかざす。

反撃され吹っ飛ばされるくるみ

彼女たちの悲しみと憎しみが魂の炎を燃やす。
イリスの調理は順調に進んでいく。

お花さんの声を届けるため星守になったくるみ。守れなかった自分の弱さが悔しい。
普段は穏やかなくるみは泣きじゃくっていた。
「私たちだって同じ気持ちだよ。でもね…くるみに怒ってもらえて、戦ってもらえてきっとうれしかったよ」
望はくるみの行為を無駄にしなかった。
「…あとは任せろ!」
一番の理解者二人がくるみを支えた。

絶許な火向井ゆり

だが「ダメです」と理事長はゆりを制止した。

「撤退します…」

それこそダメです!やつをここで止めないと!まだまだ戦える!
学校が破壊され、仲間がやられたんだ。頭に血が上った生徒たちは恐怖と不安と憎しみが交錯し反発する。
しかし理事長は頑として撤退を命じた。

「戦いの末、命を落とすつもりですか?」
明日葉が言葉を詰まらせる。
「先ほどの言葉は”予感”ではなく確信”です!」
うららも心美もくるみも戦えない…勝算などありはしない。

 

あの地平線かがやくのは~

「神樹の鏡であるあなたが私に恐れをなしたのですね」
「あなたはこの世界に居てはいけない存在……”私たち”の手で確実に平和を取り戻します。」

毅然と振る舞う理事長を前にしてイリスは問う。
神樹を置き去りにして私に背を向けるなどできるわけがないと。

「ふふっ」
理事長はしてやったり顔で
「あなたは人間の強さを理解していませんね。」
「戯言ですね。星守ではない凡庸な人間など塵も同然」
「だからあなたは理解していないというのです!人間は学ぶことができる」

カチッ

神樹発射5秒前

ひなたびっくり

神樹は5年前の審判の日と同様に、月へ向かって飛び立っていった。

この間、サンダーバードのOP出だしから君をのせてが脳内再生された。

「皮肉なことに、あの日起きたことから学び、導かれた我々の答えです。」
予想外のことに表情を変えるイリス
「地球から追い出され、バラバラとなった私たちが再び未来のために集結した。今や私たちは月にも火星にも守られています。」
人類を舐めるなと。
「星守がつないできた絆…大きな戦いを経た人間の強さです。」

どうだみたかと神峰牡丹 by 【バトガ】第6部第3章

詰将棋のように追い詰めていくイリスの裏をかくことができた。
神樹が、姉が無事なら星守もまだ戦える。チャンスは潰えていない。

イリスはムスッとした顔を見せるが、本来の目的である餌、星守の嘆きは19人もいるのだ。
神樹など後回しでいい。
さぁ、と言わんばかりに星守たちを追い詰めようと校舎を壊した光を星守に向ける。

「外してしまいましたね。残念です。」
わざとなのか…幸いにも誰にも当たらなかったが、当たれば終わってしまう恐怖が全身を駆け巡る。

「に…逃げるんだ!今は何も考えずに…学校の外へ!」
先生は叫ぶことに精一杯だった。
怪我人はいるが意識はある。あとは全力で逃げるんだ!!

だがイリスは逃がすつもりは毛頭ない。
楓が捕まり片手で首を絞められていた。
全然熟していないが、逃げられてはそれはそれで困る。
と、前菜をはじめると言いだした。

みきが、明日葉が叫ぶ。
仲間がいま喰われようとしている。

 

そのときイリスの手に何かが飛んできて、楓は間一髪命拾いした。
「余計な邪魔をしてくれましたね……」
なぜ彼女がそこにいたのか、その場にいた全員がわからなかった。

「雨谷エリカ」
樹と風蘭を看病していたはずの彼女が成海家の病院からかけつけていた。
一人の女性の投げたパイプが女子生徒を救ったのだった。

しかしどうして

「逃げなさい!」
ここは私に任せて

神樹の加護の無い人間がどうこうできる相手ではない、ということをよく知っているはずの人なのに。
黙って見過ごせない。こいつとは世界が変わっても決して断ち切れない因縁がある。
「エリカ!ダメだよ、やめて!」
サドネは、ここから連れ出そうとギュッとエリカの手を強く握る。
やっと”エリカになれた”んだ。エリカを失いたくない。
「みんなと一緒に、逃げよう!」
必死にエリカを連れ出そうとする。
だがエリカはその手から離れた。

「記憶を失っていたならそうしていたでしょう。」
穏やかな口調で言う。
「でも……今の私はあなたたちの“先生”なの。先生と同じようにあなたたちを守る義務がある。私にもその役目をまっとうさせてちょうだい。」
「エリカっ」
「お願いよ。サドネ」

そう言うとエリカは先生]に向かって

「この前話したこと覚えているかしら?」
じっと彼を見つめて
「星守たちの勝利にはあなたが欠かせないの。」
だから
「守ってあげてくださいね。彼女たちが、どんな絶望の淵に堕ちても、あなたが光となって導いて。約束よ」
……そんな言い方まるで…
「さあ!走って!もう時間がないわ!」
「サドネちゃん!」みきが呼びかける。
「サドネ行こう!ここはエリカさんに任せて離れるんだ。この場所から。」
サドネはやむなく
「約束だからね、エリカ!あとで会おうって……サドネ、約束したからね!守らなきゃいけないんだよ。」
少女は必死に必死に訴えかける。
「ずっと、待ってるから!!」
「ええ」

サドネ、みんなが学校から立ち去るのを見送った。
そしてぽつりと

「……ごめんね」

「感動の別れは終わりましたか?」
「久しぶりね」
「まさかあなたが現れるとは、予期せぬ展開を演出してくださったあなたに拍手を贈りましょう。」
賞賛をしたもののイリスは語気を強め
「……ですが、私を食事から遠ざけた罪は重い…」
生徒たちが去る前より空気が重くなった。
「人間としては長い時間を共にしましたね。」
だからこそ愚かで弱いことを、星守になれずそのへんに転がっているただの人間であることをよく知っている。
「そんなあなたが私と剣を交えると。」
「友達と未来を奪われ…世界を破壊する手助けをさせられた。」
だから今こそ
贖いあがなを剣先にのせてすべてを終わりにする。」
無駄だとわかっていても
「あなたが最期まで無様に踊るさまを、私に見せてください。」

恐れはあるがもう迷いはない。
剣先といってもパイプなどだ。
攻撃など効くはずがないことはわかっている。
それでも一矢報いてやりたい。

何度か殴りつけては振り払われ、息を切らし、体力も限界にきていた。
「……ああ、何の力も持たない、ただの人間ですね。このような機会を与えて差し上げたことに感謝してください。」
通常イリスは、人間に正体を明かさず、まして人間を連れて並行世界へ移動することなどしない。
「普通の人間が私に触れられることすら、ありえないのですよ。あまつさえ、こうして言葉を交わすことも…」
吸収した葵の想いとエリカの想いがあまりに強く、好奇心も手伝って、人間をパートナーにすればつごうがいいだろうと、イリスはずっとエリカを洗脳し連れまわしてきた。

自分の正体がバレ、エヴィーナとして新たに絶望を与え、後に星守を倒せない役に立たずだからと、エヴィーナとしても捨てた。
そんな人間に食事を邪魔された。さらに絶望を与えんとせんと、言葉で攻め立てるとともに物理攻撃も加えエリカを追い込んでいく。
そして長い旅路を、エリカとの因縁を自らの手で切ろうとする。
そのために最後は姿まで変えて。

「かわいそうだね、エリカ。」
親友の、葵の姿でそいつは語る。
「私を追いかけて、世界を飛び越えてたくさんの罪を犯して…エリカはもう、ほとんど人間じゃないものになっちゃったよね。」
葵の声で事実を言い責めていく。
「それでも私のわがままを聞いてくれたのは、私が好きだったからでしょ?」
いけしゃあしゃあとしゃべる。
「最期は、私の手で……殺されちゃうんだね。」
だがエリカは絶望を見せる様子がなかった。
「死ぬことなんて…もう、怖くなんてない。あの子たちを逃がすことができた。それだけで本望だわ。」

「それにもともとここにいてはならない存在。記憶を取り戻してから、いつかこうなる予感があった……」
イリスは少し考え口を開いた。
「どうしてここまで生きていたの?」
過去の罪に苦しむなら死んだ方がマシだろうと。
「最期は私の手で殺される。最高に哀れな終わりかたになったよ」

だがエリカの顔には絶望が見られなかった。
「……あなたは葵じゃない。だから私は哀れではないし、好きな人の手で殺されるわけじゃない。」
終わるべきあの時に戻っただけのこと。
私の世界から去ったあの日の私とは違う。

決心がついており、穏かに笑う。
「だから、今死んでも大丈夫。」
あの子たちのおかげだから…
「大好きな葵の気高い星守の姿を思い出して、彼女の誇りを抱いて死ねる。」

おもしろくない、とイリスはこぼす。
「忘れていませんか?この身体自体は七嶋葵そのもの。」
だからこそ…
「あなたを手にかけることで、七嶋葵の嘆きが私の中から私を満たす。何ごとにも代えがたい、快楽なのです。」

エリカははっとした。
葵が傷つくこと…ではなく、葵の意思がまだ身体の中に残っている。
―つまり生きている!
風蘭の言葉の意味が理解できた。
ずたずたにされ、痛めつけられた身を起き上がらせようとする。
とどめを刺そうとイリスが罵ってくるが、奴の戯言など耳に届いてこなかった。
「ここで消える前に!」
エリカは葵の身体にしがみついた。
「お願い……こた、えて……こたえ、て……葵」
イリスはこれから喰らう感情の味を想像すると、笑いが止まらなかった。
「さあ、その声で七嶋葵の感情を震わせてください!」
「葵…わかる?もう私たちに失うものなんてなにもない。」
そう言い、エリカは缶を取り出す。
だが、すかさずイリスが弾き飛ばす。
「最後にできること…私たちの誓いを果たそう。あの約束を、最後に…思い出して…」
葵と結ぶものであるならと、イリスが缶を破壊しようとした。

そのときだった
樹や風蘭のときと同じ、なにかがイリスの自由を奪う。
「馬鹿な…あなたにそんな力はもう残っていないはず…」
「……あお、い…こたえて、くれたんだね」
一度ならぬ二度までも、自分の一部に過ぎない存在に邪魔される。
イリスには理解できないできごとだった。

エリカは思い出していた。
幼少の頃、天高く伸びる神樹様を見て、葵に星守になると言ったことを。
自分ではなくて葵が星守になったことを。
葵が待っているからと言ってくれたことを。

 

合体! in 葵

気が付いたときには何か別の世界にいるような気がして。
目の前には葵がいた。
偽物ではないとすぐにわかった。
葵は涙を浮かべ、エリカと呼び、抱きしめた。

「やっと会えた!ずっとずっと謝りたかったの…私が苦しめてきたんだよね。エリカを守りたかっただけなのに」
「ちがうちがうよ。葵のせいなんかじゃない。謝りたかったのは私のほう…私が葵を信じられなかったから…葵をうらやんだから、こんなことになったんだよ」

いったいどれだけの時間が過ぎたのかわからない。
もうこのときがこないであろうと思いつつも、この瞬間を待ち続けていた。

やっとやっと、宿願の果てに、
二人は再会し、互いの胸の内を明かした。

やっとわかったんだ。私が星守になれなかった理由と葵がなれた理由。
誰かを守りたい、そのために強くなりたい、独りよがりじゃない強い心が星守にする。

「ずっと見てたよ。あの子たちが教えてくれたんだよね。」
「私たちの世界が壊れて、いよいよ私も人間とは言えなくなって…やっと気づけたんだ。」
「…それでも私、信じてるよ。エリカは星守になれるって」
驚いた。葵はまだ信じてくれていたんだ。

あっけにとられていると、葵の身体が透けてきた。
世界を渡るとき、膨大なエネルギーを使う。
幾度となく繰り返され、消耗しきった私の身体はすでに壊れかけのカセットだと葵。

「…だからね3この戦いに星守が勝って、イリスという存在が私のもとから離れても……きっと…もう2度と、私は大地を踏むことができない。」
「それじゃあ、まるで」
「……ここまできてくれたのに本当にごめんね。」
葵は一呼吸おいて
「でもね。私は失っていないよ」
「え……」
「むしろ強くなった。イリスを通してあの子たちを見てきて、あの子たちが大切にするこの世界を守りたいって、願う気持ちが」
だから私も最後に戦いたい。
エリカだからわかる。葵ならそう言う。だから星守になれたんだもん。

「私も同じ気持ちだよ。あの子たちと先生が生きるこの世界を、イリスの好きにさせたくない」
すでに覚悟したことだと。
「私も戦う。葵と一緒に」
「戻れなくなるよ。エリカも」
「いいの、葵に会えたから。葵の戻らない世界で私が生きる理由はもうないから。」
寄り添って、想いも願いも同じになった。
「ずっと一緒だよ!」

【バトガ】第6部第3章 精神世界イリス

このイリスの精神世界にイリスが現れた。
イリスにとって葵や茉梨の魂は残滓、残りカスにすぎなかった。
「残滓が形をたもつことができるとは…それも、こんな凡庸な人間風情の呼びかけに応えて」
「エリカは凡庸なんかじゃない!…ううん、凡庸な人間なんていない。誰かとかかわりを持った時点で、その人は誰かの特別なの。」
それがどんな形であっても
「化物のあなたにはわからないでしょうね。」
「高談には耳を傾ける気はありませんが、もはや肉体を伴わないあなたたちが、私に向かってくるというなら、これほどおもしろいことはありません。」
イリスがはりきっている。
「全力で相手して差し上げなくては」

「ねぇ、エリカ。私このときをずっと待っていたんだ。」
葵は満面の笑みで。
「夢だったの。エリカの隣で戦うこと…」
今日ほどうれしいことはないと。
「私、エリカと隣どころか、エリカとひとつになって戦うことができるもん」
「うん…そうだね。小さい頃の夢、私たちの約束。今やっと叶えることができる」

エリカは葵の手をぎゅっと握った。
私たちはふたりでひとつ。ずっと一緒。
身体がなくなっても、魂が消えるまで、ずっと。

―なにも聞こえなくなる。私の中に葵の存在が満ちる。感じる。強くてやさしい力。これが葵のエネルギー。そして…

星衣フローラ雨谷エリカ by 【バトガ】第6部第3章

数多の世界を生き抜いてきた存在は、はじめて見る光景に、神樹に選ばれなかった人の姿に驚きを隠せないでいた。
「足りない力を互いに埋めあったというわけですか。なるほど、たしかにあなたたちは“特別”…」
これだから星守はおもしろい。
「いいでしょう。考えを改めます。あなたたちは極上の星守です。」
嬉々として声を張りあげた。
「私の乾きを最高に満たしてくれるであろう…極上の!!」

火蓋が切られた。
エリカがイリスに突っ込み、ブレイドカノン(銃剣)”ヒースハイデ”を振りかざす。

入った!
イリスが「くっ」と言った。
茉梨の身体で戦闘して以来、19人が束になってもきれいだった肌に、衣に傷がついた。

「今までにない力を感じる。」
不思議と力があふれてくる…
「世界を守ろうという強い意思が、胸の奥から沸いてくる」
これが葵の気持ち…星守の強さ

久方ぶりの傷にプレイドを傷つけられムスッとしたイリス。
「滅びなさい」
校舎を破壊したあれがきた。
なんとか避けることができたが、うかつに近寄ることができない。

「よく動く駒ですね。おとなしくしていれば楽に逝かせて差し上げるのに」
「勝手なことを」
攻撃は効いているんだ。何発か当てればと思うも実力差は埋まらない。
どうしたらいいか考えようとしたが、エリカの中の葵が大丈夫だと語りかける。
「私たちが今するべきなのは、イリスを倒すことじゃない。少しでも弱らせて、今の星守たちに託すことだよ。」
「…そうだね、やろう、葵。」
この世界のあの子たちのために
葵と一緒ならやれる。
「私たちの最初で最後の戦いだよ。この一撃にすべてを込める!」

エリカの想いが一層強まる一方で、イリスの食指が加速する。
「ふふ…星守たちとの戦いを前に、こんな前菜をいただけるとは感謝しますよ。ですが、そろそろ幕引きです。」
待ちきれんと言わんばかりに

瞳を輝かせるイリス
屈託のない満面の笑みで襲い掛かってくる。

 

遺託

ところかわって、星守たちは無事に第二シェルターに着いた。
「全員……よくここまで逃げ延びたな」
よかった。命を奪われずに済んで。明日葉は安堵した。

しかし学校を奪われたこと、諦めて逃げたこと、無力なことを悔やむばかりだった。
イリスに傷ひとつつけられない。

「それじゃあどうすればいいの?」と望。
たくさん特訓をしてきたのに、肝心なときに役に立たなくて意味がない!ムダじゃん
「それは違う!」明日葉が頑として否定する。
「でも!なにもできなかったんですよ!なにもできなくて…」
涙ぐんで
「なんの力も持ってない、エリカ先生を…置いてきちゃったんですよ…」
こういうとき望は事実を、今は向き合いたくないことを言う。
「大丈夫だもん!」
サドネは声を尖らせて
「サドネと約束したもん!後で追いかけるって…だから待ってればくるの!サドネとの約束、エリカが破るわけないもん!」
“ヤクソクを絶対に守ってくれると信じていたい”
「ね…そうだよね、おにいちゃん。おにいちゃんも見ていたでしょ?」
エリカなら大丈夫だよねおにいちゃん。

最適解など見つからない。
「おにい、ちゃん…どう、して…どうしてなにも言ってくれないの!」
サドネの不安が大きくなってきた頃になって、頭の中を整理できるようになった。

大丈夫と一言いえればサドネを安心させられる。でもエリカさんの表情
職員室でかすかに聞こえた―むしろなにもできていないのは
あのときの消えそうな言葉の意味…やっとわかった…今になって…

床が湿っていく
思えば、いつも僕は励まされてばかりで、彼女に多くをもらい、何も与えてこれなかった。強気な表情の裏に隠された苦しみ、悲しみ…気づいていながらなにも…

強気なエリカを止めようとしても結末は変えられない。ただ自分よりもみんなの先生であろうとした…役目をまっとうした。尊敬できる人物だった。

そのことばかり悔やんでいると、サドネが耐え切れず
「やめて!!エリカが帰ってこないみたいにしないでっ!」

サドネが叫んだのもつかの間、急に部屋が光り出した。
一同が目をやると、そこにはエリカと七嶋葵がほほ笑んで立っていた…

2人がみんなの前に現れる少し前の話し。
エリカと葵はすべてを出し切った清々しい顔をしていた。
エリカの中にいた葵は出てきて、隣に横になって恋人つなぎをしていた。

「ありがとう葵。私に力を貸してくれて」
葵はうれしそうに微笑んで
「お礼を言いたいのは私のほうだよ。ありがとね、エリカ。世界を越えてまで私を追いかけてくれて。最後は私の星守としての夢までかなえてくれた。
やっぱりエリカは、私にとって最高の友だちだよ!」

そして二人は当時輝いていた青春を振り返っていた。
見た目はギャル子と控え目な子、正反対の二人はある日を境に離れは幼き日々のように街を歩き回ったりプリクラを撮っていた。
葵のパン作りは日に日に上達していったが、主食もおかずも飲み物もパンというのはさすがに酔狂だった。
あの日、追いかけて、でももう会えないと観念するも、再びこうして出会えた。
二人の絆はどの世界にいても強く結ばれたものであったに違いない。

恋人つなぎで横たわるエリカ葵

そして、もはや二人を引き裂く者などいなかった。
もうなにも怖くない。これからもずっと一緒だ。

充実した時を分かち合って
「ひとつだけ心残りがあるの」
「あの子たちのこと?」
「うん、やさしい子たちだから…
きっと私たちが消えることを悲しむと思うの。特にサドネには…最後にウソをつくなんて」
かわいそうなことしちゃった。

この世界にきてから長くいたかたわれが心配だ。
ひとりぼっちだって言っていたけど、今もう違うって気づいるかな
私がいなくなっても支えてくれる仲間がいること理解しているかな。

それに

あの人、私が消えたら泣いてくれるかしら
思えば、学園生活、男の人と接する機会なんてなかった
優柔不断で臆病で、やさしくてあたたかくて、何事にも真摯で

きっと…私がはじめて憧れた人だったろうな

すると葵が「最後にお願いしてみる?」
え?なにを?

「きっと話すことも触れることもできない。それでも…あの子たちに会えるように」

 

第二シェルターでは、帰ってきたエリカにサドネが喜んでいた。
だが目を凝らすと
違う…とミサキが言葉を発しようとするのをみきが制止した。

束の間、サドネにもよく見えてきた。
「どうして透けているの?」
ユメなの?なんで黙っているの?

最期のエリカ

するとエリカがなにか話しかけているように見えた。
しかしサドネもみんなも何を伝えたかったのか、このときはまだ何もわからなかった。

少女は目の前から大好きな人が消えていき、信じたくない事実に、果たされなかった約束にショックをうけ、慟哭そしてひとりぼっちのころに似た感情を抱いた。

サドネの慟哭

その頃、イリス様はご立腹だった。
本来、一番甘い枯れ際の花の蜜を堪能できたはずなのに、なぜ死の淵に絶望しないのか。
乾きを癒されなかったと文句を言っていた。

なぜなのか
人間ではない存在には到底理解できないことだ。

思い通りにいかず不満が残ったイリスは、絶望が染み出す甘美な味を求め
19人の星守で満たそうと動き出す。

【バトガ】第6部第3章 終

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